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脱炭素社会を知ろう!脱炭素の必要性と日本の課題を解説

最近、脱炭素や脱炭素社会という言葉をよく目にするようになりました。これはついに、「低炭素」ではなく「脱炭素」へ舵をきらなくてはならなくなった証拠と言えます。ですが、日本人は他の先進国に比べて「脱炭素」という言葉がまだまだ浸透していないようです。

この記事では、脱炭素社会とは何か、なぜ脱炭素社会が求められているのかについて分かりやすく解説していきます。脱炭素社会をより身近な課題として捉え、脱炭素社会実現に向けて私たちができることを考えてみましょう。

「脱炭素社会」とは?

「脱炭素社会」とは、読んで字のごとく炭素社会を脱する、つまり二酸化炭素の排出量を実質ゼロにすることを目的とした社会のことです。

日本に限らず、先進国は二酸化炭素の排出と引き換えに発達・発展してきたと言っても過言ではありません。そのため、現段階で二酸化炭素の排出をゼロにするのはハッキリ言って不可能といえるでしょう。

 

そこで、日本が2020年に宣言したのが、2050年の「カーボンニュートラル」の実現です。

「カーボンニュートラル」とは、排出する二酸化炭素の量から、吸収される量もしくは除去される量を差し引いてゼロにしようという脱炭素の考え方です。全く二酸化炭素を排出しないという目標よりは、はるかに現実的な対策と言えます。

 

今、この「カーボンニュートラル」に向かって、日本だけではなく世界中が動き出しています。

 

<2050年までのカーボンニュートラルを表明した国>

出典:COP25におけるClimate Ambition Alliance22及び国連への⻑期戦略提出状況等を受けて経済産業省作成(2021年4⽉末時点)

カーボンニュートラルの考え方と取り組み例

カーボンニュートラルの実現に向けて、二酸化炭素の排出量を削減するのはもちろん、吸収量と除去量を増やす取り組みが進んでいます。

二酸化炭素を削減することだけに特化せず、二酸化炭素の吸収を増やすための緑化事業や、カーボンリサイクルと言った二酸化炭素を資源に変える技術の研究も進んでいます。

出典:資源エネルギー庁「カーボンリサイクル

カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略

日本では2050年の「カーボンニュートラル」実現に向けて、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」が発表されました。
そこには14の産業分野に対する実行計画が示され、技術開発や設備投資など、企業が脱炭素に向けて大幅にシフトチェンジできるよう、後押しする支援策が講じられています。

出典:経済産業庁「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略

「脱炭素社会」と「低炭素社会」の違いとは?

「脱炭素社会」がここまで取り上げられるようになる前は、「低炭素社会」が目標とされていました。

よく「脱炭素社会」と比較して紹介されますが、低酸素社会はあくまで二酸化炭素の排出量を削減することが目的です。『減らす』から『ゼロにする』に代わったのには、早急な対策が求められている危機感を感じます。

脱炭素社会が求められる理由は?

そもそも、脱炭素社会が求められている理由は何でしょう。

そうです、今深刻な問題となっている地球温暖化ですね。

地球温暖化によって気候変動が起こり、ここ数年の異常気象による豪雨など、誰もが異変を感じざるを得ない問題が起きています。

この地球温暖化による気候変動は、人類の生活や環境、経済にとっても様々な問題を引き起こす原因になると考えられています。

脱炭素社会が求められるようになったきっかけ

1992年、環境と開発に関する国際会議にて温暖化防止のため大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させることを究極の目的とした、国連気候変動枠組条約(UNFCCC:United National Framework Convention on Climate Change)が採択され、1994年に発効しました。

それ以降は毎年、締約国会議(COP:Conference of the Parties)が開催されています。

その中で、押さえておきたいターニングポイントが1997年に京都で開催されたCOP3と、2015年にパリで開催されたCOP21です。

COP3「京都議定書」とCOP21「パリ協定」

それまで具体的な内容が明記されていなかったUNFCCCですが、京都で行われたCOP3で革新が起こります。地球温暖化対策のルールや取り決めについて、初めて具体的に明記された「京都議定書」に合意したのです。

「京都議定書」では先進国(アメリカは除く)に対して、温室効果ガスを1990年比で約5%削減することなど、2020年までの枠組みが決められました。

その「京都議定書」の内容を引き継いだのが、COP21で採択された「パリ協定」です。

2020年以降の国際的な新たな枠組みを示した「パリ協定」では、先進国並びに二酸化炭素の主要排出国だけではなく、全ての国の温室効果ガス対策が決められました。そして、『世界的な平均気温上昇を産業革命(1880年)以前 に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求すること』(外務省:「パリ協定」より抜粋)が世界共通の長期目標として明記されました。

全世界が一丸となって脱炭素社会を目指す指標が、この「パリ協定」で示されたことになります。

脱炭素社会実現を阻害する日本の課題とは

脱炭素社会に向けて動き出した日本ですが、もちろん課題もあります。

脱炭素社会実現には次の3点が重要課題と言えます。

  1. エネルギー産業の化石燃料依存
  2. 鉄鋼業での二酸化炭素排出問題
  3. 物流燃料の問題

エネルギー産業の化石燃料依存

日本の最大の課題と言えるのが、エネルギー問題です。

日本のエネルギーは8割以上を二酸化炭素排出量の多い化石燃料に依存しているといわれてます。

そこで、水力・風力・太陽光などの再生可能エネルギーを使用した発電に期待が持たれています。

しかし、再生可能エネルギーは自然環境に左右されるところが大きく、安定した電力供給が難しいという側面があります。また、設備設置率や普及率は上がってきているものの、コストの問題も解決しなければいけません。二酸化炭素排出量が少なく、安定したエネルギー供給ができる原子力についても未だ解決策が見出せず、安全性やリスクを考えると慎重にならざるを得ないと言えます。

いずれにせよ、化石燃料以外のエネルギー供給を主力化するには、まだまだ課題が多いのが実状です。

鉄鋼業での二酸化炭素排出問題

日本が排出している二酸化炭素の内、全体の約1割を占めているのが鉄鋼業です。

鉄の生産にはコークスと呼ばれる石炭を使います。また、生産自体にも多くのエネルギーが必要なため、二酸化炭素の排出は必至。大きい産業分野であるため、課題の重要性は高いです。

現在、この問題解決に向けてコークスの代わりに水素を使う技術の研究が進められています。水素による二酸化炭素の排出ゼロの「ゼロカーボン・スチール」の実現を目指していますが、実用化までにはまだ時間が必要です。

物流燃料の問題

物流に関わる飛行機や船、自動車などの燃料はほぼ化石燃料です。

2019年度における運輸部門の二酸化炭素の排出量は全体の18.6%を占めており、自動車全体では運輸部門の86.1%(日本全体の16.0%)、うち、旅客自動車が運輸部門の49.3%(日本全体の9.2%)、貨物自動車が運輸部門の36.8%(日本全体の6.8%)を排出しています。

参考:国土交通省:運輸部門における二酸化炭素排出量

それを踏まえ、電気自動車や燃料電池車の開発も進められてきました。

今、化石燃料に変わるエネルギーとして日本が注目しているのが水素エネルギーです。鉄鋼の問題でも水素が登場しましたが、燃料としても水素を使った技術開発が進んでいます。とは言え、化石燃料車の規制や電気自動車の導入を早くから進めていた世界の国に比べると、日本は遅れていると言わざるを得ない状況です。

脱炭素社会の実現に向けて私たちができること

脱炭素社会、カーボンニュートラル実現に向けての様々な取り組みが進んでいることがお分かりいただけたでしょうか。

脱炭素社会に向けた取り組みは、地方自治体でも進んでいます。

東京都をはじめ22都道府県が2050年実質ゼロを表明し、その人口は8千万人を超えました。

しかし、実際は課題も多く、目標達成には全ての人が協力する必要性を感じます。

まず大切なことは、脱炭素問題を身近な問題として認識することです。そして、できることから実行する。それが当たり前の社会になることが今の日本に必要なのではないでしょうか。

2050年、日本だけではなく各国のカーボンニュートラル及び「脱炭素社会」が実現している未来を目指しましょう。